|
昭和37年に、警備業の歴史が始まり、爾来20有余年が経過した。 昭和60年末現在において、警備業者数は4009を数え、警備員数は17万人を超すに至っている。 今まで、警備業は時代の流れにそい、成長を続けてきた。21世紀の社会が目前に迫るにつれ、警備業に対するニーズは高まる一方である。さらに総務庁所管の日本産業標準分類も、警備業を一人前の産業として認知し、独立の項目として分類してくれるようになり、その影響も若干見られるようになった。警備業は日本の社会に定着し、完全に根をおろしたといえよう。 翻って警備業界内部をみると、社会からの評価に応えようと必死の努力を続けている最中である、と感じられる。 社団法人全国警備業協会への警備業者加入率も50%に近づき、業界全体のパワーアップも相当なものがある。ただ残念なことは、警備業に関する資料が少ないことである。さまざまな資料が、有識者の手許にはあるはずだし、公的な資料も一般に未発表のままになっているようである。 私ごとになって恐縮だが、私は今の警備業を理論的に体系づけたいと考え、さまざまな資料や情報が自動的に集まってくるシステムを創ろうと、「警備科学研究所」を組織中である。 この構想を具体的に練っているところへ、警備保障のことが一冊でだいたい分かるような実務書を出版したいという話が、東洋経済新報社より業界関係の方を通じてもちあがってきた。今まで、警備業界には本書に類する書籍が出版されていない。そこで皆様が、警備業界について何か考えられる時に、若干でもお役に立つことができれば幸であると思い、書かせていただくことにした。 本書を書くにあたり、群馬の山に1ヶ月間こもって集中的にペンを走らせてみたが、なかなか思うようには書けない。実際のところ、本書に半年間かかりきりになってしまった。そこでつくづく感じたことだが、これからは種々な情報をもっともっと集め、収集した雑誌・テープ・新聞・書籍等を系統だてて、資料化し分類整理しなければならない、と思った。そうなると、ミニでもよいから図書館のような建築物が欲しくなってくる。そこで前述した警備科学研究所は独立した建物にしようと決めた。本書のおかげで、研究所構想が一歩前に進んだわけである。 本書を書き終えて思うことは、資料の活用の仕方が不十分であった、ということである。発表したくもできなかったものや、私の表現不足で資料を活かしきれなかったことなどが残念である。また、引用文献については、一応昭和61年8月10日までに公表されたものを使用し、昭和60年中のデータに統一しようとしたが、内容によっては昭和59年およびそれ以前のものが一部入らざるを得なかったことを、おわびしておきたい。 さらに本書を取り組むことによって、警備の研究活動に対する厚い滾りが、心の奥深いところから湧きおこり、加速されていることもひしひしと感じている。 具体的には、警備科学研究所の建物を年内に完成させ、3ヶ月ぐらいの間に参考資料等が自動的に集まってくるシステムに目途をつけたい。そしてそれと併行して、警備業の理論書をでき得る限り早い時期に書き上げたいと思っている。 本書をまとめるに際し、たくさんの方々から情報・資料の提供等の御協力があり、なかでも中小企業金融公庫、褐x備保障新聞社、丸山法律事務所からは、専門的なアドバイスをいただいた。深く感謝を申し上げるしだいである。特に社団法人全国警備業協会から貴重なアドバイスとともに資料引用等につき特段の御配慮をいただいたこと、さらに警備保障新聞社編集長の鈴木康弘氏には文章構成上に関する格別の御協力をいただいたことについて、深甚なる謝意を表しておきたい。最後に、本書刊行にあたり、東洋経済新報社の桃山剛志氏にはたいへんお世話になった。厚く感謝したい。
|
|
|
|
|
|
|
|